AIと、インナーブランディング
- Ikegami Tomoko
- 7月23日
- 読了時間: 4分
インナーブランディングにAIを使えないかと最近よく考えている。省力化の話であり、それ以上に「浮いた力をどこに使うか」の話。
インナーブランディングは、やっぱり結構な手間がかかる
たとえば理念類を整理するだけでも、やることは少なくない。社内調査で、経営の想いが今どのくらい浸透しているのかを測り、企業文化を分析する。経営層にインタビューをして、またいくつものグループでワークショップを重ね、その会社の現在地とありたい姿、そのあいだにある課題を、少しずつ深掘りしていく。
整理できたら、今度はそれを浸透させていくステップだ。従業員の方にできるだけ自分ごととして受け取ってもらえるよう、トップのメッセージ動画をつくったり、特設のウェブページで双方向のやりとりができる場をつくったり。
もちろん、もっとミニマルなやり方もある。それでも、ある程度の労力はどうしてもかかる。時間も人手もかかるということは、外部に支援を頼むならその分のコストもかかるということだ。ここで足踏みしてしまう会社は、けっこう多いんじゃないかと思う。
AIで、ずいぶん楽になりそうなこと
たとえば、社内調査。
自由記述のアンケートを何百人分も集めて、そこにどんな温度が流れているのかを読み取る作業がある。どこに誇りが垣間見えて、どこに諦めがあるのか。従来は、一つひとつを付箋に書き出して壁に貼ったりしながら、似たものを寄せて、何日もかけてグループに分けていく作業だった。
これは、AIがかなり得意とするところだと思う。分類も要約もあっという間だし、何より「別の切り口で、もう一度分けてみて」が何度でもできる。
実はこの「何度でもやり直せる」ことが、とても大きい。人間だと、一度分類し終えた時点で、それを崩して組み替える時間や気力がもう残っていない、なんてこともある。AIなら文句ひとつ言わず、やる気が萎えることもなく、何度でも切り口を検証しながらやり直してくれる。——最高じゃん、AI。
それでも、AIが決めてくれるわけじゃない
ただ、AIにできるのは、量をこなすことと、整理することと、何度もやり直すこと。だいたいそのあたりまでだと思う。
経営者がまだ言葉にしていない想いを、話の間や表情から感じ取ることはできない。並んだ選択肢の中から「うちはこれでいく」と決めることもできない。インナーブランディングは、言語化できていないものを言語化すること、顕在化していないものを顕在化する作業でもあるから、やっぱり肝心なところは、人が向き合うしかないのだと思う。
「つくって終わり」に、なっていないか
ここからは、わたしの個人的な意見だ。
理念類を整理しただけで、あるいはブランドメッセージを策定して、ちょっとしたツールをつくっただけで、インナーブランディングのプロジェクトが終わってしまうケースは、かなり多いんじゃないかと思う。
本当は、そこからが本番なのに。
そして、そこからが、いちばん労力のかかる部分でもある。つくった言葉を、営業には営業の言葉で、現場には現場の言葉で言い換えていく。折にふれて語りかけ、返ってきた反応を受け止めて、また語る。派手なところはひとつもないけれど、ここを続けられるかどうかで結果は変わってくる。多くの場合、そこまでの体力が残っていないのだ。
浮いた力を、本番に回す
だからこそ、AIなんだと思っている。
インナーブランディングを実施する会社の側も、わたしたちのような外部の側も、省力化できるところはどんどんしてしまえばいい。そうして浮いた時間と手間を、いちばん労力のかかる「その後」に回す。そうすれば、インナーブランディングの成果を実感できる会社が、もっと増えるんじゃないかと思う。
そのために、わたしもAIのことをどんどん学んで、どんどん実際の仕事に活かしていこうと思っている。
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