受け継がれてきた想いと、周年事業
- Ikegami Tomoko
- 7月21日
- 読了時間: 3分
更新日:7月24日
名古屋で長く続く、あるBtoB企業の周年事業を、代理店の方とチームでご一緒したときの話。
「社史と式典」だけでは、もったいない
周年事業と聞くと、なんとなく「社史をつくって、式典をやって」というイメージが浮かぶ人は多いと思う。もちろん、それも大切な節目の祝い方だ。ただ正直なところ、そこで完結してしまうと、あれだけ手間をかけたのに社内で閉じてしまって、なんだかもったいないな、と感じることがある。だからこの周年をどう位置づけるか、わたしたちはまず、そこからじっくり考えることにした。
お話をうかがって、見えてきたもの
入り口は、コーポレートスローガンとステートメントづくりだった。それをつくるために、経営トップのお二人にたっぷり時間をいただいて、お話をうかがった。そうしたら、わたしの想像をはるかに超えた深いものが、言葉の端々からにじみ出てきたのだ。
お二人は「ブランディング」なんて言葉は、使われなかった。でも、「自分たちの事業で、社会を元気にしたいんだ」という想いが、話のあちこちからまっすぐに伝わってきた。そしてそれは、[パーパス・ウォッシュ]と言われるようなキレイごとや画餅とは程遠いものだった。戦後の復興期に「街を立て直したい」という願いから生まれた会社で、その原点が、社会の課題に事業で応えていくという"DNA"のようなものになって、世代を越えてちゃんと受け継がれている。わたしには、そう感じられた。
もうひとつ、グッときたことがある。人への向き合い方だ。数字や成果だけじゃなく、一人ひとりが仕事にどう向き合っているか——そこを本気で大事な評価の軸にしていて、「人材」を「人財」として捉えていらっしゃった。言葉にすると簡単だけれど、これを本当にやっている会社は、そう多くない。
周年の位置づけが、固まっていった
お話をうかがううちに、わたしの中でこの周年事業の意味が、だんだん固まっていった。周年は、過去を振り返って総括するためだけのものじゃない。すでに社内に流れているこの想いを、もう一度ちゃんと言葉にして、未来へ手渡す。この周年はそのための機会にすべきだ——と。
そう思えた瞬間、つくるものの輪郭が見えてきた。
かたちにしたこと
スローガンとステートメントには、うかがった社会的な使命と、人への姿勢を映した。記念動画は、社史をベースにしながらも、「創業の想いがどうDNAとして受け継がれてきたか」を軸に構成した。周年サイトは、これからの採用のことも考えて、人財や組織への考え方が伝わるものにした。
見せ方にも、ちょっとこだわった。前回の周年でつくったものと"変わり映えしない"ものには、したくなかったからだ。そこでモーショングラフィックを取り入れた見せ方に切り替えた。ここは、トップのお二人にもとても喜んでいただけた。
この仕事を通じて、思うこと
周年事業の価値は、過去をどれだけ立派に飾るかじゃない。その会社にもともと流れている想いを、どう言葉にして、どう未来へ手渡すか。そこにいちばんの価値があるんだと思う。
だからわたしは、周年の仕事を「社史づくり」だとは思っていない。経営者ご自身も普段は口にしないような想いをそっと掘り起こして、社外にも社員にも届く言葉と表現に変えていく。そこにこそ、外からご一緒するわたしたちの役目があるんじゃないかと感じている。
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